最近では「地域とアート」というテーマに注目が集まり、各地でビエンナーレ、トリエンナーレが開催されています。そしてそのような活動を総称して、しばしば「アートプロジェクト」という言葉も使われるようになってきました。しかし、そもそも「プロジェクト」とはなんなのか?それは「クリエイティブ」とか「アート」、「デザイン」といった言葉も同様で、なかば一般化して自明と思われている概念を深く考えてみる機会は、意外と失われているように感じています。
1月から毎月、特別セミナーを開催し全3 回プログラムとなっています。今まで関与してきた「横浜トリエンナーレ2005」や「アサヒ・アート・フェスティバル(AAF) 」、別府などの事例も紹介しつつ、基本の基本について、ゆっくりと考えてみたいと思います。第一回の特別セミナーとして「プロジェクトって何だろう?」と題し講義を行いたいと思います。
芹沢 高志(P3art and environment エグゼクティブ・ディレクター)
1951 年東京生まれ。神戸大学数学科、横浜国立大学建築学科を卒業後、(株)リジオナル・プランニング・チームで生態学的土地利用計画の研究に従事。その後、東京・四谷の禅寺、東長寺の新伽藍建設計画に参加したことから、89 年にP3 art and environment (http://www.p3.org/) を開設。99 年までは東長寺境内地下の講堂をベースに、その後は場所を特定せずに、さまざまなアート、環境関係のプロジェクトを展開している。
【特別セミナーの様子】
「プロジェクトって何だろう?」というテーマに対し、今まで取り組んできた事例を交えながら、一般の方々にもわかるように、「プロジェクト」の語源から説明していただきました。「プロジェクト」について、専門分野の方から一般市民の方々まで、わかりやすい講義をしていただきました。
講義の様子講師:芹沢 高志氏
会場の様子
平日の夜にもかかわらず、たくさんの方々に集まっていただきました。
講義の様子スライドを使いわかりやすく講義をしていただきました。
【講義概要】
普段何気なく使っている言語。その言語の意味を理解して使用しているでしょうか?今回お話しするプロジェクトの語源はラテン語で「前に投げる」という意味があります。今プロジェクトとは「プラン・デザイン・スキーム」といった意味でつかわれています。物事を考える上で言語の意味を知ることはとても大切なことだと私は考えています。
そんな中私は今まで様々なアートプロジェクトに関わってきました。そんな中で感じたことは、プロジェクト、デザインを見つめなおさないと、創造性が失われていくかもしれないということでした。プロジェクトとは、一つの目標に向かって進んでいくもの、また一点から色々なものに派生し広がっていくことではないかと思っていますが、これからはその2つを持ち合わせなければいけなのではないかと考えています。
作ったものに固執せず、次のプロジェクトにつなぐプロジェクトを行っていくことが、これからの課題ではないかと私は考えます。
特別セミナーは「基本の基本について考えてみる」を主題として、毎月一回(全三回)開催をいたします。次回は2月24日(木)に開催いたします。是非ご参加ください。