デザイン都市のデザイナーVol.24市民の声を活用時代を映し出す公園のデザイン
神戸市のクリエイティブディレクター・山阪氏が毎月市内のデザインに関わる人物を訪ね、その取り組みについて話を聞く。現在、神戸市には大小約1,600もの公園が存在し、遊びや憩いの場、災害時の緊急避難場所、都市部の緑地として役割を担っている。一方、市民の声や民間企業の力をつかって公園を活用しようという動きも出来てきた。公園の今を建設局公園部に伺う。
東遊園地(中央区)の中で、山阪氏と神戸市建設局 公園部 管理課の井上さん、細井さん。
公園のデザインは時代とともに、どのように変化してきていますか?
神戸市内で公園がどんどんつくられたのは、ニュータウン開発が盛んだった約30年前まで。今では新たにつくられる公園は少なくなり、代わって老朽化に伴う改修が主流になりました。その際重要なのは、いかに使う人の声を取り入れて公園をリデザインするかということ。たとえば、新しく遊具を設置するときに、実際に公園を利用している子どもたちを対象に、パネルなどで説明しながら遊具の人気投票を行って決めているところもあります。逆に子どもが減少し高齢化が進むエリアでは、児童遊具を健康遊具に切り替えて欲しいという声が増えてきました。市民が主体となってドッグランを運営している公園もあります。地域ごとに異なる公園への想いや意見にきめ細かく対応していくことは、公園をデザインする上で欠かせない視点だと思います。
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市民の人気は複合遊具や健康遊具へ。
これまでの公園利用とは異なる、新しい試みがあれば教えてください。
ここ数年、神戸市では公園をつかった社会実験をいくつか行っています。土のグラウンドだった東遊園地を芝生にし、市民のアウトドアリビングとして開放。さまざまなイベントやプログラムを実施した「アーバンピクニック」には、大勢の人が参加してくれました。また、神戸市産の新鮮な農水産物が手に入る場として市民に人気の「ファーマーズマーケット」は昨年から週末開催が定着し、神戸の顔になりつつあります。さらに、みなとのもり公園では移動式のチャペルを使ったウエディングの社会実験を実施。北神戸田園スポーツ公園では、市内の公園で唯一ドローンイベントを実施しています。市が所有する公園ですが、使うのは市民のみなさん。これからも新しい発想を取り入れ、公園の可能性を拡げて行きたいと思っています。
「アーバンピクニック」(東遊園地)のプログラムで行われたヨガ教室。
全国各地で公園の民間活用が話題ですが、神戸市の今後のビジョンは?
昨年、都市公園法の改正によってできた「Park-PFI」(公募設置管理制度)をきっかけに、全国でも公園に民間企業の力を活用する動きが出てきました。神戸市でも現在、事業展開が可能な公園の調査中。カフェなどの併設によって、賑わいのある公園ができないか。今後の新たな動きにつなげていきたいと考えています。
実は神戸は、政令都市の中で一人あたりの公園面積がナンバーワン。面積だけでなく、その大きな可能性に期待がふくらむ話でした。公園の新しいムーブメントから目が離せませんね。(山阪) |
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