デザイン都市のデザイナーVol.20外国人が暮らし多文化が共生するまちのデザイン
開港以来、神戸には多くの外国人が暮らし多文化共生が根付いてきた。現在、140か国4万5千人ほどの外国人が住んでいる。
外国人居住者に対してどのようなサービスやケアを行っているのか、
「KICC(神戸国際コミュニティセンター)」で話を伺った。
山阪氏、神戸市市長室国際部のニコラスさん、坂本さん、KICCの小林さん。
KICCでは現在どんなサービスを行っているのですか?
小林 阪神・淡路大震災の時、外国人の方は言葉が通じず必要な支援を受けられなかったことがありました。これを受け、外国人の方に向けた市政・生活情報の提供や生活相談、国際交流促進のための様々なサービスを充実。行政書士による専門相談や神戸国際交流フェアが始まったのもこの頃です。現在、市内の外国人居住者は年々増えつつあり、サービスの拡充が求められています。KICCでは英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、フィリピノ語の7言語でサービスを実施。また、ボランティアによる日本語指導、電話での三者通訳や同行通訳の要望にもお応えしています。外国人が困ったときのあらゆる相談窓口になっており、年金や消費者トラブルなど、少し難しいテーマについての学習会も行っています。
KICCでは、ボランティアによる日本語教室を開講している。
10時のオープンと共に約20あるテーブルは一気に満席に。
外国人を早くから受け入れてきた神戸ですが、特筆すべき取り組みはありますか?
坂本 マンツーマンでの無料の日本語指導ですね。期間も半年間と長く、神戸ならではです。また、指導するボランティアは約700人もの方が登録。月に約50人が学習申込をしており、ほぼ満員状態の人気ぶりです。ボランティアの方の存在は語学学習だけでなく、良き相談相手にもなっています。その他、市内に外国人のコミュニティや支援団体が数多くあり、外国人同士で生活情報を共有してくれるのも神戸の特徴かもしれませんね。
ニコラス 私は初めて神戸に引越してきた時、区役所で多言語化されたリビングガイドや案内パンフレットなどが入った「ウェルカム封筒」をいただきました。困ったことがあればいつでも電話できる、相談できる所が書かれていたので安心しました。外国人を歓迎してくれる神戸らしい心づかいが嬉しかったですね。
「ウェルカム封筒」には多言語化された市政・生活情報などが入っている。
今後力を入れていきたいことがあれば教えてください。
小林 同行通訳は、現在公的機関のみへの派遣です。通訳人材の確保が課題ですが、もっと広げていきたいと思っています。
坂本 せっかく日本に来たのだから、できるだけ日本語を使いたいという方もいらっしゃいます。多言語化を進めるだけでなく「やさしい日本語」を活用してもらえる仕組みづくりも大切ですね。
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年金って何?病気になった時、どの科で受診?外国人には理解しづらい日本の制度やしくみをいかに分かりやすく伝えるかも多言語化の課題。単なる翻訳にはない難しさを感じました。(山阪) |
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