デザイン都市のデザイナーVol.19市民と市を繋ぐI C Tを活用して生活をデザイン
今回は、情報や通信に関する技術「ICT」の今に迫る。
神戸市ではオープンデータの蓄積・公開を推進し、ICTを活用したオープンガバメント社会の構築を支援している。
現在どのような取り組みが行われているのか、ICT創造・事業調整の担当者を訪ねた。
山阪氏と神戸市 企画調整局 創造都市推進部 ICT創造・事業調整担当の中川さん、八尾さん。
神戸市のICT活用について教えていただけますか?
ICTの活用自体は、かなり以前からあったのですが、市民と市をつなぐという意図でデータを公表するようになったのは、ここ数年のことです。データをどんどん市民に公開していこうという流れを「オープンデータ」、それをもとに市民と協働していこうという動きを「オープンガバメント」と呼んでいますが、これらの背景には、データを共通言語にすることで議論や施策提案に客観性を持たせたいという思いがあります。今年の7月には神戸市HPに掲載されているすべてのデータの加工や編集ができる規約に改正しましたが、実は全国の自治体でも初めての取り組みなんです。その活用例の一つが「5374(ごみなし)」ですね。地域ごとの収集日が検索できるほか、分別に迷ったごみを入力するだけでその種類を表示してくれるアプリです。
神戸市のオープンデータポータル『Open Data Kobe』
https://data.city.kobe.lg.jp/
市民のニーズに応えることも重要ですがどんな取り組みをしていますか?
よくご覧いただいているのはイベントや市バス運行の情報ですね。市のイベントをまとめたサイト「KOBE Today」は自由にデータ加工ができるため、ブログパーツとして活用されている方もいます。市バスの現在位置や時刻表がわかる「バスロケーションシステム」も人気。将来的にはセンサーで路面状況の確認に使おうという構想もあります。NTTドコモと連携した「子ども見守りサービス」の実証実験もユニークな例。発信機を持った子どもが受信機の近くを通ると通知されるシステムで、スマホでも受信機の代わりになることが特徴です。多くの人にアプリを入れてもらう事が重要なため、交通事業者や配達業者など多くの地元事業者・住民を巻き込んでネットワークを構築。民間や市民とともに見守っていくという意識醸成にもつながると期待しています。
神戸市のイベント情報がひと目でわかる『KOBE Today』
https://data.city.kobe.lg.jp/eventdata/
今後はICTを市民生活にどう活用していくのでしょうか?
情報を提供するという部分はおおむね揃ってきているのですが、市民の方の意見を伺ったり、あるいは市民の方が作ったデータを市の施策に取り入れたり、一方通行ではない仕組みが重要ではないでしょうか。また、地図情報のニーズも高いので、市民と市の対話に使える、分かりやすい地図を提供していきたいですね。
ICTというと「難しそう」「とっつきにくい」という方も多いでしょうが、実際には誰もがその効果を享受できる便利なツール。ますます市民生活に直結するICTの活用にご期待ください。(山阪) |
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