デザイン都市のデザイナー Vol.18滞在型観光へ光を整備する夜間景観デザイン

「一千万ドルの夜景」として親しまれている神戸の夜間景観。これに更なる磨きをかけることで都市ブランド力を高め、滞在型観光の促進にもつなげようという取り組みが行われている。現在、どのような光の整備が行われているのか、神戸市建設局を訪ねた。

フラワーロード「光のミュージアム」をバックに山阪氏、神戸市建設局道路部工務課の山下さん、早瀬さん。

現在行われている夜間景観向上の具体的な事業内容はどんなものですか。

まずはフラワーロード、旧居留地、ハーバーランドなど7地区を夜間景観向上の重点地区として設定しました。三宮周辺を歩いていて気付かれる人も多いのですが、中でもフラワーロードは、通りのシンボルである「花」「緑」「彫刻」をライトアップして「光のミュージアム」をテーマとした道路空間を整備中。現在、国際会館付近からフェリーターミナルまでが完成しています。このプロジェクトは、他の「あかりの事業」をリードするパイロット事業という位置づけで進められており、特にこだわったのが光演出の専門家・長町志穂さん立ち会いのもと、樹木や彫刻に合わせて一灯一灯灯りの角度調整を全て行ったことです。形状の違う草花や彫刻がそれぞれ美しく見えるよう工夫し、夜間景観のデザインをしています。

デザイン面で工夫された点や、神戸ならではの特徴について教えてください。

夜間景観の質を高めるために、平成23年度から官民一体の組織を立ち上げ、取り組んでいます。これは神戸の非常に特徴的な部分です。また、旧居留地などでは統一感のある整備を行うために、照明灯の電球のLED化に合わせて温かみのある電球色への取り替えを進めています。まち全体の統一感をもたせるために民間のビルでも電球色で照らしていただくことを推奨していますが、これは官民一体で取り組んでいる一例ですね。また、「KOBEライトアップDAY」と連携して年に16回、神戸の歳時記や普及啓発キャンペーンに合わせたカラーでの点灯を行っています。例えばピンクリボン(乳がん検診受診促進)ではピンク色、オレンジリボン(児童虐待防止)ではオレンジ色といった風に、まち全体で光のメッセージを発信しています。

JR・阪急の桁下にも光を当てている(右上)。「KOBEライトアップDAY」との連携で色を変えるフラワーロードの照明(左)。パープルリボン(DV防止啓発)に合わせて紫色に灯された状態の市役所前の様子(右下)。

 

今後の展開は、どのように夜間景観を向上させていく予定ですか。

シティー・ループによる夜間特別運行の巡回経路に組み込むなど夜間景観を楽しんでもらう取り組みもしていますが、認知度はまだまだと感じます。外国語にも翻訳されている「神戸都心夜景10選」パンフレットを活用し、おすすめルートを紹介するなど広報に力を入れています。今後は整備の範囲を更に広げていきたいですね。

 

夜、フラワーロードを歩くと東遊園地あたりで花壇を撮っている方を見かけます。六甲山からの夜景に負けないぐらい、どんどん魅力的になる市街地の夜景。街ごとに趣向のある光の演出に、ぜひ注目を!(山阪)


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