デザイン都市のデザイナー Vol.17ごみの減量と分別をすすめる袋のデザイン
美しい自然に恵まれた神戸のまち。その環境を守っていく上で重要なごみ問題を扱う環境局環境政策部を訪ねた。市内のごみ量は平成12年から順調に減少してきたが、25年頃から数年は横ばいの状態。ごみの10%削減という目標に向けて、デザインの力で達成を狙う。
港島クリーンセンターとパッカー車の前で。山阪氏、ワケトン、神戸市環境局資源循環政策課の林さん。
ごみの減量に対し、現在神戸市で取り組んでいることはどんなことですか?
神戸市ではいま、「次世代へつなげる循環型都市“こうべ”」を基本理念に、地球にできるだけ優しいまちづくりに取り組んでいます。この中で3つ基本方針として立てたのが「無駄なごみを出さない暮らしの提案」「ごみの適正処理に向けた分別の徹底」「市民・事業者へ理解していただくための広報」です。まず、ごみを減らす数値目標を10%と掲げました。調査やアンケートを行った結果、若年層や外国人の方への啓発が不十分であることが判明。また、ごみの種類によってそれぞれ収集時の課題もあったため、デザインの力を使ってわかりやすく、意識を変えることができないかという中で指定ごみ袋のデザインを一新することになりました。ごみ袋を使うたびに、市が抱えるごみの課題にふれていただくことで、市民の行動が変わっていくことを目指しました。
新しいごみ袋のデザインにはどのような工夫がされているのでしょうか。
指定ごみ袋は4種類あるのですが、その全てに日本語以外に6カ国語での啓発表記を追加しました。また、すでに市民に定着し人気も高いキャラクター「ワケトン」ファミリーをこれまで以上に大きく活用、分別ルールを楽しく紹介する工夫をしています。燃えるごみの袋には新しく目盛り線を入れ、「ごみの10%削減」という目標を可視化。容器包装プラスチックの袋には、プラスチック専用の“プラ”マークを大きく表示しました。缶・びん・ペットボトルの袋では、対象品目をイラストで明確にわかりやすく、燃えないごみの袋には通常の「燃えないごみ」と「カセットボンベ・スプレー缶」の排出方法を明示しました。更に、外国語にも対応しているごみ分別アプリ「5374(ごみなし)神戸版」をもっと活用してもらうために、外袋にはQRコードを追加しています。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
新しいごみ袋のデザインは、自治会や婦人会などからの意見を取り入れて制作された。4万5千人もの外国人が暮らす国際都市・神戸での活用を考え、日本語のほか英語、韓国・朝鮮語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語の6か国語を表記。
ごみ袋のデザインに着目した理由と、今後の狙いについて教えてください。
現在市内で71万世帯、年間約1億枚も使われている指定ごみ袋を啓発メディアとして活用しない手はありませんでした。今後は食品ロスを減らすために「食べものを買いすぎない」、紙のリサイクル推進については「雑がみは資源回収に出す」など、市民に具体的な行動メニューを提案し、ごみの10%削減を目指していきたいですね。
神戸市のごみの減量目標や分別のルールを楽しく紹介する、新しいごみ袋ができました。でもここからが本番。実際にごみが減らないとこのデザインは意味がありません。市民の皆さんのご協力を!(山阪) |
![]() |
上に戻る