デザイン都市のデザイナー Vol.2安全への配慮と神戸らしさを乗せ街・人に馴染む緑
今回は市民誰もが日常的に目にする「神戸市バス」のデザインに迫る。すっかりおなじみの緑と白の車体だが、その緑の色合いには2種類が存在。内装のシートにも神戸らしい一工夫が施されていた。車両課のメンバーにそのこだわりを聞いていく。
神戸市バス車両課の野口さん、山田さん、松原さんと山阪氏。市バスの車体をバックに。
まずは市バスのデザインやカラーの現状について教えてください
車体のフロントとリアには市章のモチーフ、側面は楠公さん(大楠公)の菊水からヒントを得た曲線のパターン、キーカラーは六甲山をイメージしたグリーンを採用しています。これらのデザインは、すべてボンネットバスの時代からのもの。長年使用してきましたが、ワンステップバスは濃い目のグリーン、ノンステップバスは明るい黄緑色で区別しています。お客様が一目で分るように、また人にやさしいバスの存在を市民にPRするためでもあります。
神戸のシンボルが描かれたシートと各座席に設けられたにぎり棒
長く同じモチーフを続けているおかげで一目で神戸市バスとわかりますね
そうですね。ただ、ノンステップバスが増えてきたことで前のグリーンに親しみがある方々からは「以前の濃い緑の方が神戸感があった」といった意見も頂きます。
内装、仕様などのデザインにも何か神戸ならではの視点がありますか?
以前は都市ごとに特色を出せたのですが、国のバリアフリー法によって、現在はどのまちのバスも同じ配色の内装になっています。それでもどこかに神戸らしさを出そうと、シート生地にポートタワーや六甲山、異人館などのイラストを織り込んでいます。また、つり革には2本のベルトを使った安定感のあるV字型を採用、揺れた際にもとっさに掴まれるよう「にぎり棒」の数も多めに設置しています。乗降の際に音声で「扉が閉まります」と警告チャイムが鳴るシステムを採用し、人にやさしい車両づくりを心掛けています。変わったところでは、一部の地域で町おこしの一環としてデザインバスも走らせています。葺合の数々の民話のキャラクターをあしらった「民話バス」はその一例。地域住民の足となっています。
現在市バスで行っている、新しい試みなどはありますか?
日曜と祝日の夜、市内を走る全517台のうちたった1台にのみ星型の電飾を付けた「スターライトバス」というのが走行しています。乗車できた方には記念ステッカーもお渡ししています。どこを走るかもわからないため、見つけたらラッキーだと思っていただきたいですね。
市民の足として毎日19万人に利用されている市バス。今回はそのバスの車両担当の方にお話を伺いました。親しみやすい見た目はもちろんですが、バリアフリーや使いやすさへの配慮がいっぱいの神戸市バス。次回バスに乗ったときに、ぜひあちこちチェックしてみて下さい。意外な発見があると思いますよ。(山阪)
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