デザイン都市のデザイナー Vol.1花で作られた物語花壇の色彩から季節が見える歩道
今回お話を伺ったのはフラワーロードや三宮駅前、旧居留地などの花壇を管理する「花と緑のまち推進センター」の樋上(ひのうえ)啓子さん。花という季節ごとに変化する生きた素材を使い、街中の風景をデザインする『花壇デザイナー』だ。
樋上啓子さんと山阪氏。「花と緑のまち推進センター(中央区)」には手入れされた花々が並ぶ。
神戸の街にはたくさんの花壇があり、デザインやコンセプトも様々ですよね。どのように作られているのでしょうか?
中心部で言えば北野地区や旧居留地地区、フラワーロードの北エリアと南エリアというように大きく4つのエリアに分かれていまして、それぞれでデザインコンペを行い造園屋さんに企画を出してもらって決めていきます。コンセプトも「母の日に市民サービスイベントを組もう」とか「七夕に街を通る人に願い事を書いてもらって、みんなで笹飾りを完成させよう」など様々です。また、北エリアでは市民参加型のものがあったり、旧居留地だとフラワーベースをリボンでラッピングしたようなもの、ハンギングバスケットを使っておしゃれさを追求したものだったりとエリアによって違いがありますね。
花壇をショーアップする意味でも、少しエンターテインメント要素や、企画性が求められているのでしょうか?
例えばバラがあったら、その周りにバラを引き立てる小花や葉ものを使います。淡い緑や白っぽい緑をうまく使うことで目にも優しい花壇になりますし、最近のガーデニング界では「背景や風景を作る」ことが主流になってきています。そういう最新の風潮をどんどん取り入れていこうと思っています。
![]() 仕上がった額縁花壇 |
三宮駅から市役所に向かうフラワーロードの一角にある「額縁花壇」。街角の風景を額縁から見える花壇と共に一枚の絵のように楽しめる。樋上さんは季節ごとにテーマを決め、スケッチを描いて花と小物を使った花壇のイメージを作りあげていく。 |
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1つの花壇が出来上がるまでの流れを教えていただけますか?
私の場合だと、まず主役を決めます。主役の花をどう配置するかを決めてからそれを引き立たせる背景や脇役などで奥行を出していきます。人の目線の高さまで彩りを持ち上げるイメージですね。
「ここを見てほしい」というポイントはどんな部分ですか?
それぞれのテーマは見て頂きたいですね。「ふわっとやわらかいイメージだな」とか「エキゾチックなイメージだな」とか、そういうイメージを受け取って頂ければありがたいです。自分で納得できるものが作れて、それを全然知らない通りすがりの方などに「これ、いいね」と声を掛けて頂いた時はすごく嬉しいですね。
生きた素材を巧みに操り、街中に彩りと安らぎを届ける花壇のデザイン。一見華やかに見える仕事ですが、その裏側には花に関する膨大な知識と深い愛情がありました。一年を通じて楽しく散策してもらいたい。そんな情熱が、デザイン都市・神戸を支えてくれています。花が最も輝くこれからの季節、樋上さんの仕事にぜひ注目ください。
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